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歯の外傷治療と小児の歯内療法にかかわる本日の問いと仮説的推論  宮新 美智世

歯科同窓会講演会にて頂きました各種のご質問を拝見して

 

20211106

10月31日の東京医科歯科大学歯科同窓会講演会にて頂きました各種のご質問にお答えして見ました。

 小児の歯内療法や外傷治療については

クインテッセンス出版の「歯の外傷で小児が来院したら」

に記載してありますのでこちらもご参照ください。 

 治療薬等についてのご質問をいただきましたが、書いてこなかった治療法や材料の使用に関しては「現時点では適切だと確証がないので書いていない」

と解釈していただくと助かります。特に、「最新」といわれる薬剤・材料には、とかく「万能薬信仰」が生じやすいものです。「新しければ安全で有効」 であるとは限らないという点を再度ご確認お願いします。

十分な基礎研究情報で確認がとれたものや長い臨床での成績の蓄積が長所と限界を提示するまで、期待だけをふくらませて、臨床において人体実験を行うようなことにならないよう注意したいと思っています。

 書籍の内容を超えたより詳細についての説明をご希望な場合は、mmiyashin@outlook.jp

にお問い合わせください。

 

 

Q 歯髄炎で急患来院した方に、抜髄する時間がない場合の対応

A  Weriser仮封を行う と講演では申し上げました。 検索サイトでも情報が得られるでしょう。

食片が入らないよう、圧力をかけたくない露髄部分があるときは 小綿球を置いてから セメントで不完全い封鎖します。崩壊しはいけれども 圧力を抜く小さい穴が開いている必要があります。

自発痛があれば鎮痛薬を投薬します。

小児用は通常、アセトアミノフェンです。

小児の投与量は体重を基本にします。投与基準は各製品ごとに検索可能です。

打診違和感がある場合は根尖性歯周炎を併発している可能性があるので 抗菌薬を服用させます。

アモキシシリンなどが標準ですが アレルギーがある場合は 他の剤品を用います。

 

 

Q 小児におけるフッ素入り歯磨剤の1500ppmの使い方はどうあるべきか?

A  http://www.jspd.or.jp/contents/common/pdf/gakkai/info20181226.pdf

をご参照ください。

キーワードで検索し、学会などが出した検証された責任ある意見を参考にされてはいかがでしょうか。

 

Q 局所麻酔後の断髄歯髄の出血は少ないか?

 

A 局所麻酔を受けた歯の歯髄の脈波幅が半分程度になることは実験的に測定されています(上記書籍参照)が、臨床での断髄面に出血がなくなるとは考えにくいです。血管収縮剤が入っていない麻酔薬でも脈波幅は同じく下がっています。断髄面の出血所見の見方は、講演でおはなしし、上記書籍に書きましたことに相違はないでしょう。浸潤麻酔部位と歯髄は離れていますので、刺入部位のような貧血所見はないでしょう。もし、髄腔内麻酔をおこなったのであれば、血管収縮剤が歯髄に直接作用して止血することもあるでしょうが、この麻酔後は断髄適応ではありません。

 

Q 外傷骨折後の歯槽骨は瘢痕治癒をおこすか?

A 元通りの歯槽骨形態に完全に戻ることは、重症例であるほど、感染があったほど、困難になるように見えます。通常の骨折と同等かと思います。実験的な治癒所見については以下を参照ください。

Kuniomi N, Atsushi Oishi, Tomoki Uehara, Kanae Wada, Michiyo Miyashin: Healing after experimental luxation and interalveolar root fracture in immature rat teeth, Pediatr Dent J,27:128-136, 2017

 

 

Q 乳歯抜歯後の掻把について

 

A 乳歯抜歯後は掻把を最小限にするということが教科書の記載です。

  抜歯窩洞は滅菌生理食塩水で十分にあらうのがよいでしょう。患者さんには、塩味がするよー

と声をかけておきましょう。抜歯窩に永久歯が露出していることもあり得ますが、洗浄だけなら問題ないでしょう。不良肉芽や残根がなければ終了してよいと思います。

 乳歯を早期喪失部位の永久歯は、早期に放出する傾向がありますが、各条件によって差が出ます。

軟組織が瘢痕をつくった場合や、永久歯に形成障害が出ると萌出が遅れるリスクとなるでしょう。

したがって定期的にエックス線所見を観察して、健全側や平均的萌出時期とくらべます。通常、永久歯の歯根が2分の1が形成されると萌出が開始するといわれます。

 

 

Q 歯肉炎症の強い歯の歯垢を痛みを与えずに除去する方法について

 

A 小児は歯肉炎がおおく、急性炎を伴うものは少なくありません。

   通常のブラッシングで痛がるばあいは、丁寧にエキスカやスケーラーで歯肉に触れないように歯垢を除去します。完全除去が出来なければ 数日後に再度行い、ホームケアの達成度を確認します。

家庭では チャーターズ法で磨くよう保護者に伝えます。歯周病細菌を減らすための含嗽剤でうがいさせるか、いやがるならほぐした綿棒で塗ったり、歯ブラシにつけて塗布したりするよう指導します。ビタミンを十分とるように野菜を摂取させ、甘い飲料や砂糖の摂取を激減させ、夜更かしをさせずに早く寝かせることも指導します。

 

 

Q 子どもの歯の異常な着色について

 

A 甘い飲食物が多いか、清掃不良や口呼吸が合併する場合、黒色産生菌の増殖、粗造な歯面などが関与したと考えます。 これらを変えるための食事指導、清掃指導、耳鼻科受診を推奨することで対応します。除去するときやPMTCやパウダーフローで除去します。歯面はレジン系の修復を検討します。

 

Q
永久前歯の部分歯髄切断ではタービン(バーの説明はありませんでしたがおそらくダイヤモンドの円形バーかと思います)、乳歯の歯髄切断ではエンジンとスチールバーを使用しているということでした。自分もそうしてはいるのですが、同じ歯髄の切断なのにどうしてスピードもバーも違うのか、ふと疑問に思いました。何か理由やエビデンスがございますか?
回答

前歯のタービンは円柱状 #301などです。

臼歯は髄床底を傷つけてはいけないのでラウンドです。

回転スピードが速いほうが傷がきれいで治癒が良好になります。

Cvekの論文、Andreasenの教科書にあります。

だからタービンがべすと。

臼歯で低速回転で抜髄をふせぎ

最後の仕上げに正回転を用いるのも回転数を上げても 周囲を気付つけないためです。


Q
完全脱臼時に電話があった場合、受付のスタッフが、患児の牛乳アレルギーの確認をして指示を変えるよりも、とりあえず全員、牛乳に浸漬してきてもらい、牛乳アレルギーがあった場合には、医院で念入りに生食で洗うという方が、分かり易く簡便かと思うのですが危険でしょうか?

回答

生食は安全なものとは確証がないので徹底的にあらいたいなら HBSSだとおもいます。

生食が1時間だけ保存するのは安全だという程度で、ラップで包むのと同様です。

 

1時間以内に受診するならラップ

それ以上なら 安全性が不明ですが 先生のように対応するしかないことは起きていると思います。

報告がないのでわかりませんが、児のアレルギーの強さにもよるでしょう。

だから自身で再植する意味をいっぱんにすすめ HBSSを学校や園におくようすすめていますし 校医も持っていてよいのではおもっています