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歯の外傷治療と小児の歯内療法にかかわる本日の問いと仮説的推論  宮新 美智世

読後感想; 知の追求と闇

過去の功労者、歴史的偉人には、称賛される面とその裏に闇の様に見える事実がともに存在することがまれではない。

 解剖学や歯科医学の先達とされるジョン・ハンターもそのような人の一人として有名である。彼の生き方は数々の書籍に取り上げられてきた。

書籍;「外科医ジョン・ハンターの数奇な生涯」 (河出文庫)ウェンディ・ムーア 著

 の内容紹介

ジョン・ハンター(1728〜1793)は,外科医、解剖学者とされる.彼はドリトル先生ややジキル氏とハイド氏のモデルになった.ジョンとその兄ウィリアムはスコットランド出身でロンドン中心部に外科医学校を開設した。それは後にハンテリアン博物館として残った.ジョンは、解剖用の「死体」を略奪や墓泥棒をする組織を通じて手に入れたと疑われており、そのほか健常者からの歯の移植手術をおこなったことでも知られている。というのも、この時代は子どもや貧窮民の歯を有料で購入して抜歯し、それを歯を失った人が購入して移植を受ける行為が広く行われた時代でもあったためで、ユゴーの「レミゼラブル」の中にも歯の移植は登場する。

他家移植された歯は数年間口腔内で機能したとの記載があるものの、梅毒等感染症の伝染がおきたことから、他科移植の流行は終焉したようである。