全身麻酔や挿管操作から歯を守る
全身麻酔や挿管操作から歯を守る
全身麻酔の際の患者さんへの事前説明書に、「歯が揺れたりかけたり抜けることがあります。」
と書いてあるのを初めて見たときはショックを受けました。全身麻酔や挿管をうけたからといって、歯を損なったり失うことのない日本でありたいものです。
特に将来のある子どものことはなおさら守りたいものです。子どもがマウスガードを使用していれば、これを挿管時に使用することもよいことを、子どもたちに伝えてきました。私の患者さんは、スポーツで複雑骨折をしたときに、私の作ったマウスガードを全身麻酔時に装着したと言っておりました。ただし、急な救急対応など、患者さん側が何も準備していない状況でも、歯をまもれるように、麻酔医側が準備することができる小児用既製品(歯守くん小児用、(株)八光)も作ってきました。]
これは、国立成育医療研究センターの麻酔医などの皆様が利用してきてくれています。より多くの医療者が、歯を犠牲にする必要がないことに気づいてくださるのはうれしいことです。
小児の歯への強い外力は、乳歯未萌出前の歯槽への外力が乳歯や永久歯を傷害することが報じられており、乳歯への外力は永久歯の形成不全や歯根形態異常、萌出障害を生じるリスクがあります。さらに、幼若永久歯へ外力が加わると、歯の外傷に相当するすべてがおきるわけで、その後も歯根形成停止や根尖屈曲、歯髄壊死、歯髄変性のリスクを高めます。
小児の歯は成長発育期にあるため、外力以外に、癌治療などの際に行われる放射線治療も歯や骨の形成を傷害するため、子どもの歯を放射線から防護するためのマウスガード(アテニュエーター)もつくってきました。
成人においても原因不明の歯髄壊死があったばあいに、気管内挿管時などの外力による影響を疑うこともあります。つまり、全年齢にとって、歯を過大な外力から守ることは重要な関係があるのです。
マウスピース作製の年齢の下限についてご質問がありました。下限はありません。出生当日に印象をとり、唇顎口蓋裂児にはホッツ床が適用されておりますのと同様です。また、既製品も3歳~学童期まで使えますので、小児科や麻酔科領域の方々、一般の皆様に今後もお知らせし続けたいと思います。
Labo Mは
小児の歯内療法、外傷と受傷歯の治療と
合併症への対応を教育・研究しています。
(無料)
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小児の歯内療法、小児の外傷と受傷歯の治療と長期経過観察、合併症への対応
その他、小児歯科学全般に興味のある皆様に、講義や実習(「天然歯根管模型」使用)、治療指導。研究指導などをボランティアで行っております。
特に研修中の歯科医師や歯科衛生士の皆さんは気兼ねなくご連絡ください。
また、診療上、お悩みの症例がありましたら、ご相談などもお受けしています。
2名以上の希望者がおられましたら、どこでも伺います(交通費だけはご負担ください)。
希望される日や時間帯をいくつかご提示ください。
お問い合わせは以下まで
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